八咫烏シリーズの登場人物の中で特に印象的なのが、若宮の護衛として登場する澄尾です。彼の魅力はその外見だけではなく、率直に自分の考えを述べる性格にあります。
そんな澄尾が思わず心を奪われたのが、真赭の薄(ますほのすすき)です。ますほは若宮の妻、浜木綿の筆頭女房として務める女性で、彼女の魅力に澄尾は翻弄されています。
この二人の関係は、「烏に単は似合わない」から登場し、物語を通じて彼らの間に芽生える感情が描かれています。
澄尾の一途な想いとますほの優雅な人柄が織り成すドラマに、読者は心を奪われます。 本記事では、澄尾とますほの関係にスポットを当て、彼らの物語を深く掘り下げていきます。
彼らの関係の背景、発展、そしてそれが八咫烏シリーズの中でどのように描かれているのかを、詳細なネタバレと共に解説していきます。
- 『烏は主を選ばない』澄尾と真赭の薄・関係のはじまり
- 澄尾が真赭の薄に心奪われた瞬間
- 真赭の薄と雪哉の婚約話が引き起こす衝突
- 澄尾の深い感情とますほへの告白
- 澄尾の改めた告白とその後の展開
- ますほと澄尾の家族: 4人の子供たちとその未来
- 澄尾&ますほの物語:どの巻で読める?
『烏は主を選ばない』澄尾と真赭の薄・関係のはじまり
初めての出会い
澄尾と真赭の薄(ますほのすすき)の出会いは、澄尾が勁草院に入学する際の式典でした。勁草院は若宮専属の護衛を育成するための施設であり、この式典でますほも出席していました。
当時、ますほは西領の大貴族・西家の姫君として、出席者に挨拶を行っていましたが、澄尾はその時のますほの存在をほとんど意識していませんでした。
ますほにとっても、その場にいた多くの新入生の一人に過ぎなかった澄尾のことは記憶に残っていませんでした。
仕事上の関係が始まる
しかし、澄尾が勁草院を首席で卒業し、若宮の護衛としての職を得ると、ますほとの関係も変わり始めます。
ますほはその頃には若宮の后・浜木綿の筆頭女房として働いていました。若宮がしばしば秘密裏に外出するため、浜木綿の身代わりとして彼女が在宅していると見せかける役目も果たしていました。
こうした若宮の計略により、ますほと澄尾は頻繁に共同で仕事をすることになり、二人の間には徐々に信頼関係が築かれていきます。
知り合いからの信頼へ
このようにして、ますほと澄尾は若宮の策略やトラブルの尻拭いを共にすることが多くなり、その過程でお互いの性格や考え方を深く理解するようになりました。
ますほの冷静で思慮深い対応と、澄尾の直情的で情緯的な性格が補完し合うことで、二人は仕事を通じて互いに欠かせない存在となっていくのです。
澄尾が真赭の薄に心奪われた瞬間
髪を切って変わった真赭の薄
物語の中で、真赭の薄は自らの髪を切り落とし、その姿で澄尾の前に現れます。
これまでの高慢な姫のイメージから一転、剛胆な決断を見せる真赭の薄に、澄尾は予想外の感情を抱くことになります。
彼女の決断は彼女がただの高貴な姫ではなく、強い意志を持った人物であることを澄尾に認識させました。
一目惚れの瞬間
澄尾は、真赭の薄が髪を切った後の初めての出会いで心を奪われます。
これまで「手の届かない存在」として見ていた彼女の新たな一面に触れ、彼女への単なる憧れが一目惚れへと変わったのです。彼女の勇敢さと美しさに惹かれ、澄尾は彼女に対する自分の感情を自覚します。
真赭の薄と雪哉の婚約話が引き起こす衝突
澄尾の婚約者推薦と真赭の激怒
自分に対する感情を抱えつつ、澄尾は雪哉を真赭の薄の婚約者として推薦します。しかし、この提案が真赭の薄を怒らせ、「二度と近づかないで」と断絶を告げられる程の険悪な関係になりました。
雪哉の成長と真赭の複雑な心境
競馬での雪哉の活躍を目の当たりにした真赭の薄は、彼の成長に感心する一方で、彼に対する特別な感情を抱き始めていることに寂しさを感じます。この情景を見た澄尾は、真赭の薄が雪哉に特別な感情を持っていると推測します。
澄尾による過剰な発言
山神との戦いに向けた危険な状況の中、真赭の薄が前面に出ようとするのを阻止するために、澄尾は彼女に対して「女はすっこんでろ」と強い言葉で忠告します。この一言が彼女を深く傷つけ、さらに二人の間には深い溝が生まれます。
真赭の薄の逃走と澄尾の後悔
澄尾の言葉にショックを受けた真赭の薄は、その場から逃げるように立ち去ります。後に澄尾は自分の発言が真赭の薄を傷つけたことを後悔し、彼女への感情に葛藤を抱きます。
澄尾の深い感情とますほへの告白
命を賭けた救護行動
大災害に見舞われた際、澄尾は若宮を守るために自らの身を投じ、深刻な火傷を負います。その重傷は、彼を生と死の狭間に追いやりました。治療が困難なほどの傷は、彼をさらなる試練へと導きます。
ますほによる献身的な看病
澄尾が療養する凌雲寺にて、ますほは彼の看病を一手に引き受けます。重傷を負った澄尾の身の回りの世話を行いながら、彼女は感染を防ぐために苦痛を伴う治療も厭わず行います。ますほのこの行動は、彼女の内に秘めた強い意志と愛情の深さを表しています。
澄尾の心の声とますほの気づき
回復の兆しを見せ始めた澄尾は、ますほに対して「手を握ってはくれますまいか」と心の内を明かします。この瞬間、ますほは澄尾の深い感情に気づき、二人の間に新たな理解が生まれます。
澄尾の挑発とますほの反撃
澄尾が回復に向かう中、ますほは彼を支え神域での重要な役割を果たすことを山神に約束します。しかし、澄尾はますほの安全を案じ、「男は引っこんでいなさい」と強く出るものの、ますほは同じ言葉で応じ、その強さと決意を見せつけます。
二人の関係の進展と深まる絆
最終的に、互いの深い愛情と支え合う強さを認め合った澄尾とますほは、お互いに必要不可欠な存在となります。これらの試練を乗り越えたことで、彼らの関係はより一層強固なものになりました。
澄尾の改めた告白とその後の展開
澄尾の心からの告白
澄尾は、義手と義足に頼りながらも自力で歩けるようになった後、最初にしたことは真赭の薄のもとを訪れることでした。
彼は彼女への看病への感謝を表した後、自分の真心から「あなたを一人の女性として好いています」と告白しました。この率直な告白は、彼の心の底からの想いが込められていました。
ますほの冷静な対応
ますほは、澄尾の告白に対して「あなたの気持ちに応えることはできません」とはっきりと答えました。
彼女のこの反応に、澄尾は「ああ、かまわねえよ」と返答し、その場を立ち去りました。彼のこの一言には、自分の感情を抑えつつも、ますほへの深い配慮が感じられます。
ますほの怒りとその後の再会
ますほは、澄尾のさりげない言動に内心では怒りを感じていました。
彼女は、その反応がまるで日常の小さなトラブルに対するもののように感じたのです。後に山内衆の詰所でふたたび顔を合わせた際に、ますほは澄尾から全てを聞くことにしました。
この時、澄尾は自分の気持ちを再確認するとともに、ますほに対する誤解を解くために努力しました。
互いの真意を知る
二人の間で交わされた会話を通じて、澄尾の「かまわねえよ」という言葉が、彼自身の自己受容と前向きな決断を示していたことが明らかになります。
ますほもこの事実を理解し、澄尾への見方が変わりました。彼女は彼の真摯な態度に感銘を受け、新たな一歩を踏み出す勇気を得ることができたのです。
未来への約束
物語の最後に、ますほは澄尾の馬術の技を見たいと願います。
澄尾は「いつか見せてやるよ」と気軽に応じ、彼らの間には新たな約束が生まれました。このやり取りは、二人の関係がこれからも続いていくことを予感させ、読者にも前向きな印象を与える結末となりました。
ますほと澄尾の家族: 4人の子供たちとその未来
子供たちの成長と活躍
ますほと澄尾は、結婚後に四人の子供をもうけました。彼らは最新刊『望月の烏』でそれぞれの道を歩み始めています。双子の葵と茜、そして照尾と暁美の四人です。
双子の姉妹とその進路
葵は「澄生」として男装し、宮廷の落女となり、政治の世界に進出します。一方で茜は、凪彦の后候補として貴族社会への一歩を踏み出しました。
照尾と暁美の生活
照尾は勁草院での訓練を経て、一流の射手としての道を歩むことになります。暁美は、若干11歳にして既に医術に興味を持ち、両親を支えながらその技術を学んでいます。
葵の影の存在
葵は病弱であるため長らく公の場に出ることはありませんでしたが、その存在は多くの憶測を呼んでいます。彼女の容貌と聡明さから、彼女が実は高位の貴族の子である可能性が囁かれています。
ますほと澄尾の晩年
時が経つにつれてますほの髪は白髪が増え、見た目は同世代の貴族女性より老けて見えるようになりましたが、その目は依然として輝きを失っておらず、社会貢献に情熱を注ぎ続けています。
澄尾&ますほの物語:どの巻で読める?
漫画での紹介
八咫烏シリーズの漫画版には『烏に単は似合わない』と『烏は主を選ばない』の二つがありますが、ますほと澄尾の関係が描かれているわけではありません。
しかし、それぞれのキャラクターが個別に活躍する様子は楽しめます。
- 『烏に単は似合わない』では真赭の薄が華やかな役割を果たしています。
- 『烏は主を選ばない』では澄尾がカリスマ的存在として描かれています。
小説での展開
小説ではますほと澄尾の関係をより深く掘り下げています。特に『弥栄の烏』では二人の対話が中心となる場面が多く見られます。
- 『烏に単は似合わない』での真赭の薄は特に印象的です
- 『烏は主を選ばない』では、澄尾が若宮の護衛としての役割を担っています
- 『弥栄の烏』では二人の会話や「女はすっこんでろ」というやり取りが見られます。
- 短編集『烏百花 蛍の章』ではますほの激情や澄尾の告白が描かれています。
子供たちと新たな展開
二人の子供たちが登場するのは『追憶の烏』と『望月の烏』です。特に『望月の烏』では澄生が主人公として活躍し、ますほと澄尾の老後も描かれています。
- 『追憶の烏』での可愛らしい茜の姿が読み取れます。
- 『望月の烏』では澄生をはじめ、照尾や暁美も活躍。澄尾と真赭の薄の晩年も描かれています。
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