『ブルーロック』には、一人の有能なストライカーを育て上げようとする狂気の人物がいます。
その人物こそ、絵心甚八です。
絵心は性格が良いとは言えず、その言動も過激で容赦ありません。
しかし、彼の言葉によって主人公の潔世一をはじめ、多くの選手たちが成長してきたのも事実です。
では、この絵心甚八とは何者なのでしょうか?
今回は、『ブルーロック』の監督である絵心甚八の正体や過去、そして彼の名言について解説していきます。
絵心甚八の正体とは?
まずは、絵心甚八の正体や過去について見ていきましょう。
絵心はサッカーに関する知識や戦術に非常に精通していますが、その背景には謎が多いキャラクターでもあります。彼が一体何者なのか、監督としての経歴にはどのようなエピソードがあるのか、興味深いところです。
絵心の正体は「超エゴイスト」
『ブルーロック』のテーマには、「フォワードはエゴイストでなければならない」という大前提があります。絵心は、この理念を体現する人物で、サッカー界の未来を変えるために監督の座に就きました。
「世界一のエゴイストこそが、世界一のストライカーである」との信念のもと、300人の中からたった一人の選手を選び出すために、「青い監獄(ブルーロック)」プロジェクトを主導します。
試合が白熱する中で「誰が最もエゴイストなのか?」と選手たちの戦いを見守りますが、実際には絵心こそが誰よりもエゴイストなのです。青い監獄プロジェクトに参加する選手たちはエゴイスト揃いですが、絵心はその中でも突出して自己中心的な性格を持っています。
絵心の目的
絵心甚八の目的は、多くの才能を育てることではなく、「唯一無二のストライカー」を生み出すこと。それ以外の選手のサッカー人生がどうなろうと意に介さない姿勢からも、彼のエゴイストぶりがうかがえます。
彼の苗字「絵心」は、まさにエゴイストの「エゴ」を示していると言えるでしょう。しかし、普通に読むと「えごころ」となり、これは「絵を描く心」を意味します。もしかすると、彼はピッチ上の選手たちや、日本がワールドカップで優勝する姿を、既に頭の中で描いているのかもしれません。
「元プロサッカー選手」という絵心の過去
ここからは、絵心の過去について見ていきましょう。
実は、絵心はかつて「プロサッカー選手」でした。物語の本編では、彼がすでに引退した後の姿として描かれており、アンリの招きに応じてコーチとなり、「青い監獄プロジェクト」を指導しています。
選手時代には非常にストイックだったことがうかがえる発言もあり、特に食事には細心の注意を払いながら現役生活を送っていたことが伺えます。しかし、その反動なのか、現在ではカップラーメンなどのインスタント食品を好んで食べる姿も見られます。かつての絵心からは想像できないこの変化には、驚かされました。
ただし、彼がなぜ選手を辞めたのかについては、まだ明らかにされていません。
狂気的な思考の持ち主
続いて、絵心甚八の性格について見ていきましょう。一言で言えば「狂人」という言葉が最もふさわしい人物です。
絵心は序盤から常軌を逸した考え方で、潔たち選手や読者を驚かせてきました。彼は一人の優秀なストライカーを育てるために、他の選手のサッカー人生を犠牲にすることも厭いません。また、日本のサッカーについて「組織による攻守は優秀だが、それ以外は価値がない」と断言し、さらには香川選手や本田選手を批判する発言もありました(名前は伏せられていましたが、恐らく香川真司選手と本田圭佑選手を指していると思われます)。
これらの発言により、一時期批判が巻き起こりましたが、絵心自身は全く気に留めなかったでしょう。ちなみに、作者である金城宗幸さんも、この件でファンからのバッシングを受け、一時は「打ち切りの危機」とまで炎上しました。
選手の才能を開花させる監督としての器
このような過激な性格を持つ絵心ですが、監督としての実力は確かです。彼の指導方法はあくまでストライカーを育成するためのもので、育成メニューやトレーニングも全て合理的で無駄がありません。「最短・最速・効率化・最適化」を重視した指導方針は、まさにエゴイストなストライカーを生み出すためのものです。
絵心はただスパルタなだけではなく、序盤で苦戦していた潔たちに対して「ストライカーの考え方」や「優秀なストライカーになるために必要なこと」を教え、彼らの成長を大きく促しました。発言は過激ですが、選手の成長を見る限り、彼の監督としての実力は疑う余地がありません。おそらく、彼の指導は現役時代の経験に基づいているのでしょう。
まとめ考察
作者が伝えたいのは、『ブルーロック』という作品を通じて、人間の持つ「エゴ」と「成長」の複雑な関係性です。特に絵心甚八というキャラクターを通して描かれるのは、成功するためには時に他者を押しのけるエゴイストである必要があり、その過程で自身の本質をどこまで貫けるかが問われるということです。
絵心は、ストライカーというポジションにおいて「エゴイストであること」が必須だと強調しています。そのために、彼は冷酷にも他の選手たちのサッカー人生を犠牲にすることをいとわない姿勢を見せます。この極端なまでの信念は、読者にとって驚きや反感を引き起こしますが、同時に、成功するためには何が必要なのかを問いかけています。
また、絵心の狂気じみた性格や過激な発言を通して、成功を追求するための非常さや、その裏にある情熱と覚悟が浮き彫りにされています。彼が現役時代に培った経験や哲学をそのまま選手たちに伝えようとする姿勢から、作者は「指導者とは何か」「成功とは何か」を深く掘り下げようとしているのかもしれません。
全体として、作者は『ブルーロック』を通じて、競争の厳しさとそれにどう向き合うかというテーマを描き出し、読者に対して「何を犠牲にしても勝利を追求することの意味」を考えさせようとしているのではないでしょうか。
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