アニメ化でさらなる注目を集めている『薬屋のひとりごと』。
連載当初から人気の高い作品でしたが、近年はさらに関心が高まっています。
主人公・猫猫の謎解きの面白さに加えて、物語全体にさまざまな伏線が張り巡らされており、飽きることがありません。
その中でも、物語の初期に登場する「園遊会」での簪が印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
当初はあまり深く考えずに見ていた場面でしたが、実はこの簪には重要な意味が込められていました。
そこで今回は、「簪の意味」や「園遊会における壬氏や李白の行動」について考察していきます。
薬屋のひとりごと・簪(かんざし)の意味は?
簪の意味は「行きずり」と「求婚」の2つを意味する
簪を渡すという行為には、主に2つの意味があるとされています。
ひとつは、身元の保証を意味するものであり、もうひとつは求婚を意味するものです。
この「身元保証人」という言葉が示す内容は、一見同じように思えても、前提が異なれば大きな誤解を招くことがあります。
特に後宮では、恋愛に飢えた空気もあるため、簪の意味を恋愛的な意図として受け取る傾向が強いようです。
そのため、簪が必ずしも恋愛感情を伴う贈り物であるとは限らず、単なる形式的な挨拶の一環として配られることもあります。
猫猫はこの制度を利用し、後宮からの一時的な外出を実現させる計画を立てていました。
猫猫は壬氏と李白の男性2人から受け取った
園遊会の場で猫猫は、壬氏と李白の2人の男性から簪を受け取っています。
(梨花妃からのものは含まれません)
壬氏は猫猫に対して明らかに特別な感情を抱いており、他の者には簪を渡していませんでした。
一方で李白は、出会った侍女に次々と簪を渡しており、誰に渡したかを把握していないほどでした。
とはいえ、簪を受け取れない侍女も存在するため、猫猫が羨ましがられるのも無理はありません。
簪の有無やその数は、後宮から退いた後の身の振り方に大きな影響を与えることがあります。
具体的には、退職後に保証人がいるかどうか、あるいは再就職先の紹介が得られるかに関わるのです。
李白が猫猫に簪を渡した意味
李白は多くの女官に配っていた
李白は、猫猫以外の侍女たちにも広く簪を配っていました。
それらは本命の意味ではなく、あくまでも義理としてのものでした。
本人もその点を自覚しており、形式的な挨拶として配っていたようです。
とはいえ、身元保証を意味する簪を気軽に配れるというのは、それなりの立場や人脈がある証ともいえます。
李白にとっては義理チョコ風の扱い
もちろん、誰に渡したかくらいは把握しておいてほしいところですが、後宮では貴重な出会いの機会であるため、それだけでも特別な意味を持つことがあります。
本来、簪は想いを伝えるためのものであり、相手への気持ちを託す象徴でした。
その本来の意味合いが形を変え、義理チョコのように扱われているのはやや残念な印象を受けます。
それでも、男性が女性に贈り物をするという文化の原型を見るようでもあり、興味深い場面です。
壬氏が猫猫に簪を渡した意味
壬氏は求婚の意味を込めたが猫猫は理解していなかった
壬氏は猫猫に簪を贈った際、そこに求婚の意図を含めていました。
しかし、猫猫はその意味を正しく理解していませんでした。
園遊会が終わった後、猫猫は小蘭に簪の意味を尋ねました。
小蘭もまた、恋愛的な意味までは把握しておらず、身元保証としての解釈をしていました。
「その人物に頼めば後宮の外に出ることができる」と説明されたため、猫猫は李白に頼ることを決めました。
その見返りとして用意されたのが、緑青館の三大美姫の一人である白鈴でした。
一方、壬氏は宦官として扱われていたため、猫猫は見返りを提示することができず、依頼しなかったようです。
もし適切な見返りが思い浮かんでいたなら、壬氏に頼っていた可能性もあるでしょう。
李白に負けた結果となり壬氏が意気消沈した
猫猫はあくまで里帰りを目的としており、実利を考えて李白に頼みました。
しかし壬氏は、簪に込めた自身の気持ちが届かなかったと受け止め、強い落胆を覚えます。
猫猫が「李白とともに街に出る」と知ると、壬氏は即座に李白の素性を調査し始めました。
その姿は、嫉妬を隠すことなく感情を表に出しており、玉葉妃にも興味深く見られていたようです。
猫猫が後宮へ戻ると、壬氏は彼女を執務室へ呼び出し、直接問いただします。
しかし、互いの認識がずれていたことから、会話はうまく噛み合わず、壬氏は猫猫と李白が一夜を共に過ごしたと誤解してしまいます。
この誤解によって、壬氏は完全に敗北したと感じ、大きく落ち込むことになります。
後に誤解は解かれますが、壬氏の猫猫への想いは周囲にも知られるようになりました。
壬氏自身も、その想いを隠すつもりがなかったようです。
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