十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)は『呪術廻戦』に登場する伏黒恵の特有の術式で、禪院家から伝わる相伝術式として知られています。この術式は、影を媒介にして多様な式神を召喚し、戦闘に利用することができます。
影を利用するこの術式は、その応用性の高さから他の術師たちからも注目され、特に強敵である宿儺もこの技に注目していました。本稿では、十種影法術がどのように機能するのか、そして具体的にどのような式神を召喚できるのかを詳細に解説します。
十種影法術の魅力や戦術的な可能性について深く知りたい方は、この解説をお読みください。
十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)をわかりやすく解説
十種影法術とは?概要と特性
十種影法術は伏黒恵が使用する、影を使った召喚術です。この術式により、10種類の異なる式神を影から生み出し、様々な戦術に対応可能です。それぞれの式神は独自の能力を持ち、状況に応じて適切な式神を選択することが術者の戦略に影響を与えます。
宿儺が使用した際には、通常の伏黒の使用時とは比べ物にならないほどの大型式神を召喚していることから、式神の規模や力は術者の呪力に大きく依存すると言えます。式神を多数同時に召喚することも可能ですが、これは術者に高い呪力と集中力を要求します。
式神の使用と調伏のルール
十種影法術を用いる際、最初に利用できるのは基本的に「玉犬」のみで、他の式神を使用するにはそれぞれの調伏が必要です。調伏とは、式神を支配下に置くための儀式であり、術者自身が単独で行う必要があります。調伏が成功すれば、その式神を自在に操ることが可能になります。
しかし、一度破壊された式神は再召喚が不可能であり、その力は他の式神に引き継がれるため、「渾」と呼ばれる式神融合が発生します。この渾により、式神は更に強大な力を持つことができますが、一方で特定の能力を失う場合もあります。
十種影法術の応用技
この術式は単なる召喚術にとどまらず、式神を使った多様な戦術が展開可能です。例えば、式神を使って敵の攻撃をブロックしたり、敵を束縛するなどの応用が考えられます。また、術式反転を用いて式神の能力を逆転させることで、攻撃的な用途にも対応できます。
さらに、術者が重傷を負った場合には、反転術式を応用して自身の治癒を試みることも可能です。これには高度な呪力制御が必要であり、すべての術者が可能というわけではありませんが、極限状態での生存率を高めるための重要な技術と言えるでしょう。
式神の召喚メカニズムと概要
十種影法術では、術者の手影絵を用いて動物の形をした影から式神を召喚します。
この術式では、手の形が式神の形を決定し、術者の指の状態によって召喚の可否が決まります。
指の怪我は式神召喚の大きな障壁となるため、術者は常に注意が必要です。
十種影法術の強さ・実力と秘密
十種影法術の真価
十種影法術の真力は、単に式神を召喚する能力に留まりません。この術式の本質的な強みは、影を媒体とすることにより無限の可能性を秘めている点です。術者の想像力と戦略次第で、戦い方は多岐に渡ります。
特に、術者が影の中に自由に入り込むことが可能なため、隠密行動や急襲に特化しています。さらに、他者の影を利用しての瞬間移動も可能で、戦場を自在に操ることができます。
影の特性と活用法
影を利用する十種影法術では、術者は自身の影や他者の影に隠れることができます。これにより、敵に気づかれることなく接近したり、危険から逃れることが可能です。また、影の中に物を一時的に保管することもできますが、保管する物の質量が術者に影響するため、使用には注意が必要です。
戦術の多様性
十種影法術はその性質上、戦術に非常に柔軟です。強力な攻撃式神を用いての正面突破から、影を利用した隠密行動まで、状況に応じた多彩な対応が可能です。長期戦になればなるほど、術者の戦術的な深さと式神の潜在能力が発揮されるため、非常に高い戦闘力を持つと言えるでしょう。
五条との互角の戦い
この術式は過去に五条悟と同等の能力を持つ無下限呪術使いと互角に渡り合った記録があります。その際、十種影法術使いが自爆を覚悟で魔虚羅を召喚し、最終的に両者が力尽きる形で戦いは終結しました。これは十種影法術が持つ、類稀なる適応力と極限状況でのポテンシャルを如実に示しています。
十種影法術の元ネタ・起源
十種神宝と十種影法術の関連性
十種影法術は、伝統的な日本の神話に由来する十種神宝に着想を得ています。これらの神宝は、「先代旧事本紀」に記され、超自然的な力を持つとされている10種類の宝物で、霊力が宿るとされる鏡、剣、玉などから成り立っています。
これらの神宝は、振るわれることで死者さえも蘇らせる力があると伝えられており、その力強さが十種影法術の基となっています。
十種神宝の具体的なアイテムと魔虚羅の元ネタ
具体的には、十種神宝には鏡二種、剣一種、玉四種、比札三種が含まれます。特に八握剣は、強力な式神である魔虚羅のモチーフとされています。この剣をモデルにした魔虚羅の召喚時には、「布瑠部由良由良」という祓詞が用いられるのです。
十種神宝の霊力とその影響
十種神宝にまつわる伝承では、病気治癒の祈祷に使われた事例があります。特に田脇日吉神社では、重病者がこれらの祈祷によって回復したとされています。しかし、祈祷を行った者がその直後に亡くなるという話もあり、生命力を引き換えにするという重い代償が伴っているようです。
宿儺と十種神宝の関連性
十種影法術と宿儺の関連性についても触れておきます。宿儺の完全な復活は、十種神宝の伝説と密接に関連している可能性が高いです。伏黒が使用する十種影法術の各式神が破壊されるという性質は、宿儺の復活と何らかの形で結びついているのかもしれません。
この術式に宿る「命と引き換えに何かを蘇らせる力」は、宿儺の受肉にも深く関係していると考えられます。十種影法術の深い力が、宿儺の計画の一環として利用されたのです。
十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)の全式神一覧
1. 玉犬(ぎょくけん)白・黒
元ネタは「死帰玉」と「道帰玉」で、これらを模した白黒の犬型式神です。伏黒恵が最も頻繁に使用する基本的な式神で、攻防一体のバランスが取れた能力を持っています。嗅覚を利用した探索が得意で、初登場は物語序盤です。ただし、戦闘力は高くなく、特級呪霊には破壊されやすいですが、力は他の式神に継承されます。
渾(こん)
玉犬・白が破壊された後、その力を玉犬・黒が継承して変化した式神です。黒と白が混じった外見で、戦闘能力が格段に向上しています。特にその破壊力と耐久力は、通常の玉犬とは比べ物になりません。京都校との交流戦から伏黒の主力として活躍しています。
2. 鵺(ぬえ)
鵺は鳥型の式神で、飛行能力と電気を帯びた攻撃が特徴です。移動手段としてだけでなく、麻痺効果を利用した戦術的な使い方も可能ですが、耐久力が低いため、戦闘では早期に解除されることが多いです。鵺のサイズは術者によって大きく異なり、宿儺が使用する際は巨大化します。
3. 大蛇(おろち)
大蛇はその名の通り、巨大な蛇型式神で、捕縛や敵の丸呑みに特化しています。全長は非常に長く、柔軟に動くことが可能ですが、その大きさゆえに目立ちやすく、容易に破壊されることが多いです。伏黒が使用すると通常サイズですが、宿儺の手にかかるとその力が大幅に増すことが確認されています。
調伏と能力の継承
十種影法術の式神を新たに召喚するためには調伏が必要です。調伏は術師単独で行う必要があり、成功すればその式神を自由に操ることができます。
破壊された式神の能力は他の式神に継承され、「渾」として新たな力を発揮します。
4. 蝦蟇(がま)
蝦蟇は、人を丸呑みすることが可能な大型の蛙型式神で、その特大の舌を使って多様なサポート活動を行います。これには敵の拘束や、危険からの仲間救出などが含まれます。蝦蟇は主に防御的な役割を担い、直接の戦闘では使用されることが少ないですが、サポートとしては重宝されています。
特に、少年院での事件では釘崎を救出する際に初めて使用されましたが、その後は死滅回遊編を迎えるまで出番が減少しています。宿儺による伏黒の受肉後は、この式神が使用されることはありませんでした。
5. 満象(ばんしょう)
満象は小さな仔象の大きさを持つ式神で、鼻からは巨量の水を噴出し、敵を押し流す能力があります。この水攻撃は、鵺と組み合わせることで電撃と連携させ、敵に大ダメージを与えることができます。また、その巨大な体を使って、空から落とし質量爆弾としても機能します。
しかし、その巨体と能力のために呪力消費が非常に大きく、他の式神との同時召喚が困難です。そのため、主に戦闘の終盤や決定的な一撃を放つタイミングで使用されることが推奨されています。
6. 脱兎(だっと)
脱兎は群れをなす小さな白兎の式神で、その数は無限に近く、一体が破壊されてもすぐに別のが顕現します。このため、主に陽動や敵の注意を逸らす目眩しとして活用されています。しかし、脱兎の群れの中には特別な紋様が描かれた個体がおり、この個体が破壊されると全ての脱兎が消失するリスクがあります。
攻撃力に関してはほぼ無力であり、その無力さが脱兎の最大の弱点となります。それでも、数の多さで敵を惑わせることが可能です。使い方によっては非常に有効な式神となるでしょう。
7. 円鹿(まどか)
円鹿は巨大な鹿の形をした式神で、特筆すべきは反転術式の使用能力です。これは高度な技術であり、その習得者は非常に限られています。円鹿はこの反転術式を用いて呪力の中和や治療を行うことが可能で、これができる式神は非常に珍しいです。
ただし、円鹿を活用するには術者の手印が必要で、手印を結ぶ手が負傷してしまうと円鹿の力を借りることができなくなります。そのため、戦闘中の術者の身を守ることが非常に重要です。
8. 貫牛(かんぎゅう)
貫牛はその名の通り、黒い牛の姿をした式神で、直線的な動きが特徴です。距離が延びるほどに攻撃の威力を増すこの式神は、長距離を一気に駆け抜けることで驚異的な破壊力を発揮します。
しかしながら、その直線的な動きは予測が容易であり、特に開けた場所では避けられやすく、カウンター攻撃を受けやすいのが欠点です。そのため、他の式神との連携で敵の動きを制限する戦術が推奨されます。
9. 虎葬(こそう)
虎葬は本編に直接登場することなく、その姿や能力が具体的に描かれることはありませんでした。既に破壊され、他の式神へと能力が継承されているため、具体的な姿や能力は顎吐の特徴から推測されます。
名前から虎を連想させる虎葬は、おそらく猫類のような姿をしており、二足歩行する女性のような体型をしていた可能性が高いです。顎吐が示す肉弾戦の強さも、虎葬の能力が色濃く反映されていると考えられます。
10.八握剣異戒神将・魔虚羅(やつかのつるぎいかいしんしょう・まこら)
八握剣を元ネタとする魔虚羅は、歴代の十種影法術者も調伏できなかった強力な式神です。人間に近い形を持ち、影絵ではなく特別な祓詞が必要です。その最大の特徴は、一度経験した攻撃から即座に耐性を形成する能力です。
この「事象への適応」能力により、自然災害さえも克服可能で、倒すには一撃での討伐が求められます。しかし、その高い戦闘能力により、一撃で討伐するのは非常に困難です。
嵌合獣・顎吐(かんごうじゅう・あぎと)
嵌合獣・顎吐は、鵺、大蛇、円鹿、虎葬を継承した特殊な式神です。二足歩行の女性のような体つきを持ち、継承した全式神の能力を使用できます。特に、円鹿から継承された反転術式による即時回復は顎吐を非常に手強い存在にしています。
高い耐久力を持ち、五条の黒閃を受けても容易には破壊されませんが、戦闘力は魔虚羅には及ばず、「釣り合っていない」と評されています。
不和井底(せいていしらす)
不和井底は、鵺と蝦蟇の合体によって召喚される式神で、背に天使の羽がある小型の存在です。主に数と機動力を活かした戦術に利用されますが、鵺や蝦蟇を単独で使用するよりは全体の性能は下がります。
また、鵺や蝦蟇が破壊されると召喚が不可能になる弱点を持ちますが、「渾」ではなく拡張術式による召喚のため、破壊されても再顕現が可能です。これにより、比較的安全に多用することができる利点があります。
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