逃げ上手の若君は、南北朝時代を背景にした歴史ドラマで、主役の北条時行の冒険を描いています。この作品は、エンターテインメントとしてだけでなく、『太平記』などの歴史的資料を基に、詳細な時代考証を施しています。
逃げ若の最終章が史実に沿った展開を見せるかどうかは、多くのファンにとって注目のポイントです。作品がこれまでの流れで史実を尊重していることを考えると、可能性は十分にあります。
一方で、創作物としての自由を活かし、史実から大きく逸脱する可能性も考えられます。この場合、どのような創造的な結末が用意されているのかが鍵となります。
また、史実とは完全に異なるオリジナルの結末を迎えることもあり得ます。このアプローチは、既存のファンに新鮮な驚きを提供し、物語に深みを加える可能性を秘めています。
今回は、これらの結末について、独自の視点と解釈で深掘りして考察します。
『逃げ上手の若君』ラスト結末は?
松井先生の結末に対するアプローチ
松井先生はインタビューで、過去作品「ネウロ」や「暗殺教室」の結末をあらかじめ想定して連載を始めたと語っています。また、いつ打ち切られても綺麗に終われるように、物語の山場をいくつも作っていたとも話しています。「ネウロ」のHAL編や「暗殺教室」の鷹岡編はその山場に相当します。
逃げ若の物語の山場
「逃げ若」でも、中先代の乱で諏訪頼重が死んだ後など、まるで「今週が最終回?」と思わせるほど綺麗にまとめられた回がありました。実際、あそこで終わっても大きな反発はなかったのではないでしょうか?中先代の乱は史実の「北条時行」にとってのピークですから。
しかし「逃げ若」はまだまだ続く模様です。では、松井先生は「どこまで」を描くことを想定しているのでしょうか?
バッドエンド考察:史実通り時行の死で終わる
松井先生は「逃げ若」を通して読者に歴史を学ばせようとしている部分がみられます。
時行の死後の歴史が気になる読者に自ら勉強させようとしている可能性もあります。このように、時行の死を物語の結末にすることで、歴史の興味を引き出す意図があるのかもしれません。
時行の死による結末
1つ目の考察は「主人公の時行が死ぬまで」です。
これはバッドエンドと言えるかもしれません。
というのも、史実では1353年、時行は足利尊氏を打ち倒すことができず、その前に捕らえられて処刑されているのです。
悲劇的な結末のエモさ
少年漫画の主人公の末路としては悲しいものですが、処刑されたのが父である「北条高時の死からちょうど20年後」というエモさも含め、ここで切るのは面白い試みかもしれません。史実の時行は享年20代半ばと言われているため、その若さも物語に深みを与える要素となります。
バッドエンド考察: 時行の死後から足利尊氏の死まで
時行の死後の展開
時行が処刑された後、史実に基づいて足利尊氏の「足利直冬の矢によってできた腫れ物が原因で死ぬ」まで描かれるパターンです。
足利尊氏の最期
尊氏は時行の死から5年後、1358年に52歳で亡くなります。尊氏の庶子でありながら認められなかった直冬が、尊氏との戦いの敗走時に放った矢が、尊氏の死因となります。この腫れ物から敗血症にかかって死亡するのが一般的な解釈ですが、この作品ではその腫れ物に対して呪術的な要素が加えられるのではないかと予想できます。
呪術的要素の予想
例えば、かつて護良親王が見た尊氏の身に宿る化け物が腫れ物として具現化したとか、時行や尊氏に恨みを持った人々の妄執が宿った腫れ物であるとか。こうした展開であれば、敵討ちが達成されるため、グッドエンドと言えるかもしれません。
尊氏の死に関与する時行
この場合、尊氏が今際の際に「おーにさんこーちら」の鈴の音が聞こえる演出もありそうです。いずれにせよ、腫れ物での死という人間らしい死因は、尊氏の神性が剥ぎ取られた象徴と考えられます。つまり、時行は処刑されたものの、尊氏の死に無関係ではないというパターンです。
ハッピーエンド考察?時行生存説&足利打倒を果たす
時行とゲンバの入れ替わり説
逃げ若党の中でも特に変装が得意なゲンバが、主人公の時行と入れ替わり、代わりに処刑されるという説がSNS上で注目されています。このドラマチックな展開は、「逃げ上手の若君」という作品のテーマに沿って、時行が歴史に記録された悲劇的な運命から逃れるという希望が込められています。
ゲンバの自己犠牲とその影響
もともと郎党として加わったゲンバが時行のために自身の命を捧げる決断をする展開は、感動的なクライマックスを迎える可能性があります。ただし、ゲンバのキャラクターモデルが「北条に仕える風魔一族の祖」と考えられていることから、彼の死を望まない読者も多いです。
ゲンバと夏ちゃんの未来
ゲンバとその恋人である夏ちゃんの間に子供がいるか否かは、この物語展開の重要なポイントです。子供がいる場合、ゲンバが自己犠牲の道を選ぶことがより現実的になり、ない場合はゲンバの生存が期待されます。これは、物語の将来に大きな影響を与えるでしょう。
ハッピーエンド考察? 史実と全く異なる展開
史実に即した歴史漫画としてスタートしたにも関わらず、エンタメ作品として史実とは全く違う結末を迎える展開です。
史実とは異なるエンタメの可能性
史実に基づいた歴史漫画でありながら、エンターテインメント作品として予想外の展開を迎える可能性があります。
たとえば、「時行が足利一族を根絶やしにして鎌倉幕府を復興させる」「時行が室町幕府を立ち上げる」といったシナリオが考えられます。これらの展開は、読者の応援に応えて物語を形成する際の一つの方法かもしれません。
松井先生が南北朝時代を選んだ理由
しかし、松井先生がなぜ南北朝時代というマイナーな時代を選んだのかを考えると、史実から大きく逸脱する展開を最終的に採用するとは思えません。
選ばれた理由は、競合する作品が少ない、倫理観がカオスなこの時代をどうエンターテインメントに変えるかが作者の腕の見せ所であり、読者に歴史への興味を引き出すためだとされています。
そのため、物語はエンターテインメントとしての面白さを保ちつつも、史実とのバランスを考慮した展開になると考えられます。
ハッピーエンド考察?時行の死まで描かれず終了
時行が死ぬこともなく足利打倒も果たせず、打ち切りや他の不慮の事態によって作品が突然終了する可能性も念のため考察します。
不慮の事態による結末
歴史漫画の中には、作者がキャラクターを好きになりすぎて死なせることができず、自ら作品を終了させるという珍しい事例も存在します。これは、ファンにとっては非常に残念なバッドエンドとなりえます。
松井先生のケースではあり得ない?
松井先生については、計算高く物語を構築するスタイルから、重要なキャラクターの生死を当初の予定から変更することは考えにくいです。キャラクターへの愛着があっても、ストーリーの完結を優先すると思われます。
打ち切りの可能性も低い
また、2023年12月現在、「逃げ若」はジャンプの看板作品として成長しており、打ち切りのリスクは低いでしょう。そのため、この展開は支持されにくいと考えられます。
#逃げ若まとめ:将来的な展開に関する考察
逃げ若の物語終了についてのさまざまなシナリオが提案されていますが、その中でも特に重要なものを振り返ります。
史実を踏襲した結末
時行の歴史的な終焉、すなわち彼の処刑までを描くシナリオ。このアプローチは、史実に忠実でありながらも、読者にとっては悲劇的な結末を迎えることになるため、感情的なインパクトが強いです。
完全なフィクションへの転換
時行が歴史とは異なる道を歩み、例えば足利一族を打倒し、自らが新たな時代を築くといった展開。これはエンターテインメントとしての魅力を高める一方で、歴史的正確性を犠牲にすることになります。
時行が生存し、物語が継続するシナリオ
ゲンバが時行と入れ替わり、彼の代わりに処刑されるというシナリオ。この展開は時行のキャラクターが持つ「逃げ上手」というテーマに沿っており、彼の生存というハッピーエンドを迎える可能性を提供します。
突然の終了
作者の意向や外部の事情により物語が突如終了する可能性。これは多くのファンにとって不完全燃焼と感じられる結果となり、作品に対する満足度を著しく低下させるリスクがあります。
以上の最終回考察がネット上で繰り広がられるほど、「逃げ若」の未来は多方面から注目されており、その結末は松井先生の描く物語の深さとファンの期待によって大きく左右されることでしょう。
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