2023年4月にスタートした『鬼滅の刃』の新シリーズ「刀鍛冶の里編」。直前には劇場版としてワールドツアーが行われ、遊郭編の第10話から11話、刀鍛冶編の第1話、そして「上弦の鬼の集結」が上映されました。
『鬼滅の刃』はこれまでの展開にも増して盛り上がりを見せていますが、特に注目されるのは「上弦の鬼」たちの存在です。中でも最も力を持つとされる「上弦の壱・黒死牟」の背後にある物語は、多くのファンにとって非常に興味深いテーマです。今回は、彼のキャラクターとその背景に迫ります。
「上弦の壱・継国巌勝」の真実
黒死牟の出自とその正体
「上弦の壱」として知られる黒死牟は、十二鬼月の中でも最も強力な存在です。彼の本名は継国巌勝(つぎくにみちかつ)で、彼の強さの背後には彼の人間時代の経歴が大きく影響しています。彼は始まりの剣士、継国縁壱の双子の兄として生まれました。
巌勝の人間時代と剣士としての野望
巌勝は幼いころから「この国で最強の剣士を目指す」という野望を持っていました。剣の修行に励む日々を送る中、彼の才能も非常に高かったのですが、彼の弟・縁壱が剣士としてさらに卓越していくことになります。縁壱の存在はまるで眩しい太陽のようで、巌勝の心は嫉妬の炎に包まれていきます。
鬼への転身とその動機
やがて、巌勝は自分の才能では弟に追いつけないと感じ、別の道を選択します。この選択が彼を鬼の道へと導いたのです。彼の人間としての限界を超え、より強大な力を得るために鬼になることを決意したのです。
鬼としての巌勝
鬼となった後も、巌勝は強さへの追求を止めることはありませんでした。しかし、彼が選んだ道は孤独であり、常に弟・縁壱との比較に苦しんでいました。鬼としての彼の力は非常に強大である一方で、心の中には常に弟への複雑な感情が渦巻いていたのです。
このように、黒死牟として知られる継国巌勝の背景には、彼の剣士としての野望、弟への嫉妬、そして選んだ道への葛藤が存在しています。これらの要素が彼のキャラクターを形作り、『鬼滅の刃』の中で重要な役割を果たしています。
黒死牟が鬼になった理由
最強を求めた結果としての選択
黒死牟、本名継国巌勝は、幼少期から最強の剣士を目指して非常に真摯に剣術の修行に打ち込んでいました。彼の目標は、天才である双子の弟・縁壱を超えることでした。しかし、どんなに努力しても縁壱の才能には及ばず、最終的に「月の呼吸」という日の呼吸の派生技を使うに留まりました。彼の努力にもかかわらず、縁壱との間には常に大きな差が存在しました。
アザの出現と短命への恐れ
巌勝の体にはアザが出現しましたが、これは一見すると力の増大を意味するものでしたが、実際にはそのアザは寿命を縮める代償が伴うものでした。アザが現れた者は通常25歳で命を落とすとされ、これは縁壱を除くすべての者に適用される運命でした。巌勝にとって、この限られた時間の中で縁壱を超えることは不可能に近い挑戦であり、彼は自分の死を前に深い絶望を感じていました。
鬼舞辻無惨の誘いと鬼への転身
そんな巌勝の前に現れたのが、鬼の首領である鬼舞辻無惨でした。無惨は巌勝に対して、彼の技を極めるための無限の時間を与えることができると語りました。また、巌勝自身も死を回避する方法として、無惨の提案に魅力を感じていました。結果として、巌勝は縁壱を超えるため、そして自身の命を延ばすために鬼となる道を選びました。
これらの事情が重なり、最強を目指すという彼の野望と、短命を避けるための必死の選択が、巌勝を鬼へと変える決定的な理由となったのです。この選択は彼の人生を根底から変え、後の悲劇的な運命を招くことになります。
黒死牟と縁壱、究極の対決
鬼となった黒死牟の目的
剣術の極致を求め、最強を目指した黒死牟は、自ら鬼へと変貌を遂げました。その背景には、双子の弟である縁壱を超えるという強い動機がありました。鬼となった彼は、果たして縁壱を剣の勝負で打ち負かすことができたのでしょうか?
高齢の縁壱との再戦
黒死牟は縁壱との再会を果たし、80歳を超えた縁壱と対峙します。年老いて変わり果てた縁壱でしたが、彼の剣技は全盛期に匹敵するほどの力強さを保っていました。この戦いで、縁壱は自身の寿命を超えた存在として黒死牟に立ち向かいました。
決着の瞬間、縁壱の死
熾烈を極めた戦いの最中、黒死牟を圧倒していた縁壱ですが、彼の命は戦いの最中に尽きてしまいます。縁壱は最後の一撃を放つ直前で動きを停止し、その場で息を引き取りました。鬼となった黒死牟は、弟に勝ることなく、彼の死をもって戦いは終結しました。
憎しみと悲しみの残響
黒死牟は縁壱が倒れた後、彼の体を憤怒のままに両断します。しかし、縁壱の遺品として現れたのは、幼い頃に黒死牟が縁壱に贈った手作りの笛でした。この笛は、縁壱が生涯大切にしていたものであり、かつての兄への愛情の証でもあります。この出来事は、黒死牟にとっても複雑な感情を呼び覚ますものでした。かつては憎しみでいっぱいだった黒死牟も、この瞬間にはかつての兄弟愛を思い出すことでしょう。
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